概 要
技術名称 | 河床式除塵機を用いた取水システム |
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副題 | 河床に河床式除塵機を設置し、流れてくる河川水を除塵し取水するシステム |
分類 1 | 機械設備 - 消・融雪設備 |
分類 2 |
上下水道工 - 浄水設備 農水工 - 農業用取水設備 |
概要 |
(1)何について何をする技術なのか? (本技術の目的) 本技術は河川の落差工付近河床部に河床式除塵機を設置し、流れてくる河川水を本体上面に通過させ、除塵を行い導水管によって貯水槽へ取水するシステムである。 (本技術の構造) 本技術の取水システム構成は河床式除塵機→導水管→貯水槽で構成されている。 河床式除塵機の材料はオールステンレス製(SUS304)である。 (本技術の仕組み) 河川水は河床式除塵機上面のスリットにより除塵され本体下部より導水管によって取水され、塵芥等はスリットを通過せず自然流により下流へ流れていく仕組みである。 塵芥等が自然流によって下流へ流れる原理は河川水を一時的に貯水し水位上昇すると河川水が放流され塵芥等も一緒に河床式除塵機下流へ流れるからである。 (本技術の特徴) 河川水を自然流によって除塵機に通過させる除塵方法を用いている取水システムである為、取水ポンプが不要で電気料金がかからないのでコストが削減出来る。 取水槽を設置する必要がなく取水システムの面積を狭く出来る。又、コストも削減出来る。 (2)従来はどのような技術で対応していたのか? 従来の取水システムは、河川水を水路、導水管によって取水ピットに取水し、取水ピットよりポンプを用いて傾斜ウェッジワイヤースクリーン式除塵機を通過させ除塵し貯水槽へ取水するシステムである。 取水ピットよりポンプを用いて傾斜ウェッジワイヤースクリーン式除塵機を通過させる必要があるためポンプ代及び電気料金等のコストがかかる。 (3)公共工事のどこに適用できるのか? 消融雪設備、上水道の取水設備に使用できる。 <概要説明図> |
新規性及び期待される効果
概 要 |
(1)どこに新規性があるのか? (従来技術と比較して何を改善したのか?) 本技術は、河川水を自然流により除塵機に通過させ除塵し、貯水槽へ取水する事が出来る。 (2)期待される効果は? (新技術活用のメリットは?) 河川水を自然流により除塵機に通過させ除塵する事で、取水ポンプの必要がなく電気料金もかからない為コストの削減が出来る。 取水槽を設置する必要がなく取水システムの面積を狭く出来る。又、コスト削減も出来る。 ●従来技術のシステム構成 河川→導水管→取水槽→取水ポンプ→傾斜ウェッジスクリーン式除塵機→貯水槽 ●新技術のシステム構成 河川→河床式除塵機→導水管→貯水槽 ※取水槽、取水ポンプが必要ない為、コスト削減に期待できる。 <新・従来技術比較図> |
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適用条件 |
(1)自然条件 河川内での作業となるため、雨天時、強風時は作業不可 (2)現場条件 取水システム施工スペースはW=8.8m L=12.5m S=110m2 が必要 (設計選定取水能力2.1m3/minで算出) 河床式除塵機据付スペース付近に落差工がある河川 (3)技術提供可能地域 日本全国技術提供可能 運賃は地域によって異なります。 (4)関係法令等 河川砂防技術基準 河川管理施設等構造令 |
適用範囲 |
(1)適用可能な範囲 設計選定取水量0.35~3.5m3/minまでの取水システム 最大取水量:0・43~4.3m3/min (2)特に効果の高い適用範囲 特になし (3)適用できない範囲 表流水が少ない河川(理由:取水量に対して50%以上の表流水量がないと設計選定取水量が確保できないため) (4)適用にあたり、関係する基準およびその引用元 特になし |
留意事項 |
(1)設計時 河川のゴミの量、水量、規模を設計時に検討する必要がある。 (2)施工時 河床式除塵機を据付ける時に仮締切し水替えを行う必要があるため、下流で取水していないか確認する事。 (3)維持管理等 消融雪設備の場合は雪寒期間終了後河床式除塵機を清掃し、洪水や落石での損傷を防止するため河床式除塵機に防護板(FRP製、SUS製)を取り付ける。 河床式除塵機下部ピットに泥、土砂等が堆積する為、排泥ゲートを2~3mm程度に開放して使用すると良い。 (4)その他 特になし |
従来技術との比較
比較する従来技術 | 取水ピット+取水ポンプ+傾斜ウェッジワイヤースクリーン式除塵機 |
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経済性 |
向上( 23.44 %) ※新技術は取水槽、取水ポンプが不要であるためコストが削減出来る。 |
工程 |
同程度 ※従来技術は取水槽が必要ですが貯水槽と同時施工出来るので工程は同程度 |
品質 |
同程度 ※新技術、従来技術ともに除塵機はオールステンレス製である。 |
安全性 | 同程度 |
施工性 | 同程度 |
周辺環境への影響 |
向上 ※新技術は取水ポンプが不要である為、省資源化を図れる。 |
追加項目、技術の アピールポイント等 | 従来技術の課題であったポンプ代、電気料金等のコスト削減を河川水を自然流により除塵機に |
特許・実用新案
特許番号 | 2002-350269 |
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単価・施工方法
施工単価 |
施工単価については以下の条件で算出 取水量2.1m3/minで行う。 河川は幅4mでコンクリート3面張りの河川で行う。 河川の通常流量は6ton/minとする。 取水システム構成は河川水を河床式除塵機を通して導水管により貯水槽に貯めるまでの範囲。 仮設工については新技術、従来技術ともに必要で仮設規模も同等なので除外する。 河川内土工(コンクリート取壊し、河床掘削、コンクリート打設)については、新技術、従来技術ともに必要で規模も同等なので除外する。 新技術(貯水槽土工)、従来技術(取水槽土工、貯水槽土工)についてはともに水槽(RCBOX)据付のみとする。掘削、埋戻し、貯水槽上部コンクリートについては従来技術の方が規模が大きくなるが水槽据付で比較出来るため除外する。 従来技術は取水ポンプが必要ですが取水ポンプ製作工のみとし据付工は除外する。 導水管配管工は新技術、従来技術ともに規模(配管口径、長さ)が同等なので除外する。 但し、20R型以下については、製作費等については割高となります。 |
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施工方法 |
(1) 河川を仮締切する。(仮締切期間 20日 範囲 河床式除塵機据え付け範囲) (2) 河床の河床式除塵機を据え付ける範囲にカッターを入れ河床のコンクリートを取り壊す。 (3) 河床式除塵機の据える深さまで河床を掘り下げる。 (4) 型枠を設置しコンクリートで河川敷除塵機を据えるピットを作る。 (5) 河床式除塵機をピットへ据付けてコンクリートアンカーで固定する。 (6) 貯水槽を据え付ける深さまで地盤を掘り下げる。 (7) 貯水槽(RCBOXカルバート)を据え付ける。 (8) 導水管を据え付けし、貯水槽の埋戻しをする。 (9) 完了 |
補足事項 |
河川本流内及びその付近に設置した場合、台風・豪雨に伴い、河川水が増水し、土石流または岩石により、上部スクリーン面が損傷する恐れがあります。 損傷対策として、防護板の購入もお勧めしております。 |